我々はアイスとしてのパピコを買っているのではなく「2人で分ける」という行為を買っているのではないか? 顧客が本当に欲しいのはドリルではなく穴、みたいな話。【PAPICO】

未分類

パピコというアイスがある。
どのコンビニにも、ほかのバー状のアイスやカップ型の横に並んで置かれている。

しかし、パピコはその性質として、他のアイスとは一線を画す。

では、パピコをパピコたらしめているものとはなにか。

当たり前だが、バー状のアイスやカップ型のアイスの場合はまず「1人で食べる」ことを前提としている。もちろんシェアして食べても構わないが、第一として「1人で食べる」ことが想定されているという意味である。

そして、ピノのように個数が複数個入っているものや、チョコモナカジャンボのようにブロックで分けやすいものもある。「1人で食べる」に加えて、「複数人で分ける」ことも考慮されているといえる。

では、パピコはどうだろうか。

ご明察の通り、パピコははじめから2つに分けられている。そして、個数やブロックではなく容器ごと2つに分けられていることから、これを3人以上の複数人でシェアすることは難しい。もちろん一人で食べることは構わないのだが、デザインとして「2人で分ける」ことが第一に想定されている。

パピコの特異的な性質は「2人で分ける」ことを前提としているという点にある。

思い返せば「部活帰りに友達と寄ったコンビニ」も、「散歩しながら恋人と行ったコンビニ」も。

我々は、アイスとしてのパピコを買っているのではなく、「2人で分ける」という行為を買っているのではないか?

昔はアイスとしてのパピコ自体も好きだったはずだ。チョココーヒーとホワイトサワー。
だが思い返すと、パピコを「味」で選んだことは人生で一度たりともなかったことに気づいた。

すごすぎる。「構造」を売っている。すごすぎてパピコが恐ろしい。

パピコとは一見アイス本体を売っているように見せかけて、その実は「共有することの喜び」を商品化して売っているやばいアイスなのだ。

パピコはその商品構造からして「1人で食べる」よりも「2人で分ける」ほうが確実に幸せを感じるようにできている。

人間の脳はバグり散らかしすぎているし、パピコは人間の脳をハックしすぎている。

きっと人間がパピコを開けた上の部分を食べるのが好きなことも、パピコは最初からわかっていたんだろうな……。

以上、顧客が本当に欲しいのはドリルではなく穴、みたいな話でした。

コメント

タイトルとURLをコピーしました