趣味でたまにコンペとかコンテストに応募するんですけど、書くだけ書いて応募しそびれたものがあったのでここに供養します。
というか印刷して郵送必須て……。それがめんどくさくて応募やめちゃいました。郵送必須のコンペ、送るのだるすぎて応募しそびれるから全部オンラインにしてくれ~。
令和7年度土地月間作品コンテスト(国土交通省)
国土交通省では毎年、「土地」に関する意識の向上を図るため、土地作品コンテストで使用するイラスト、エッセイを募集しています。今年のテーマは「土地に願いを」です!皆様のこんな土地になってほしいなという思いや理想など自由に表現ください。
これが今回応募しそびれた国土交通省のコンペの概要。ちなみに公募されているコンペの多くはオンラインで送れるようになっています。なのに国はまだ郵送してるんかい。国こそはやくオンラインしてくれ~、ほんとうに。
星降る畑で
私の夏休みの定番は、長野にあるおばあちゃんの家へ行くことだった。山に囲まれた静かな集落で、川のせせらぎと風に揺れる木々の音が響く。朝は涼しく、昼はカラッとしていて、夜には満天の星が広がる。都会では見たこともない星の数に圧倒され、私は毎晩、縁側に寝転んで空を見上げるのが好きだった。
おばあちゃんの家の裏には、小さな畑と、その奥に古い納屋があった。誰も使っておらず、屋根は少し傾き、まわりは雑草に覆われていた。その脇にある空き地は、私たち孫にとって最高の遊び場だった。虫取り、かくれんぼ、バドミントン……毎年のようにその場所で過ごす時間が、私の夏の思い出を彩っていた。
しかし、中学生になるころから様子は変わっていった。納屋はさらに傷み、雑草も放置されて空き地は使えなくなった。草の中には蜂の巣もでき、危なくて近づけない。遊び場を失い、私は室内でゲームや本に没頭するようになった。あのにぎやかだった夏の日々は、どこか遠くへ行ってしまったようだった。
そんなある年、おばあちゃんが「そろそろ納屋、片付けようと思ってる」とぽつりと言った。高齢になり管理も大変だから、納屋を壊して畑を広げるつもりだという。翌年の夏、私が訪れると、そこには広くなった畑と、整備された小道があった。空が広く感じられ、風がよく通る。おばあちゃんは元気そうに野菜を育てていた。
「風がよく通るね」と私が言うと、「土地もちゃんと手をかければ、また生き返るのよ」と笑った。
その夜、私は久々に縁側に寝転び、夜空を見上げた。変わらぬ満天の星。かつては星に願いをかけていたが、その夜は、目の前の土地に願った。雑草に覆われていた場所が、おばあちゃんの手で蘇った。土地にも願いは届くのだと感じた。
数年が経ち、私は大学生になった。おばあちゃんは体調を崩して入院し、畑もまた荒れ始めた。誰も管理できず、草は生い茂り、整えられた土地がまた元のように戻っていった。私は初めて、土地は人の手と心によって生かされる存在なのだと実感した。
最近、両親がその土地の登記や相続について話し合っている。管理が難しいから売るべきか、それとも誰かが引き継ぐか。あの空き地の記憶、野菜の揺れる畑、おばあちゃんの笑顔、そして星空の下で土地に願った夜。それらを思い出すと、この土地を未来へつなげたいという気持ちが、静かに、でも確かに湧いてくる。
今、日本では空き地や空き家が増え、社会問題となっている。だからこそ、一人ひとりが自分の土地に責任を持ち、適切に管理し、次の世代へ渡していくことが大切だと思う。私はまだ学生だが、いつか自分にできる形で、あの土地を蘇らせたい。土地に願いを。星がそうであるように、長野の小さな土地は私の願いを聞き、道を照らし続けてくれている。
(1155字)
コメント