自己紹介。みなが耳触りの良い「趣味」を発表する謎の劇。
僕の趣味はインターネット。ゲーム、アニメ、読書、食事、だいたいこんな感じ。ここに最近ブログが加わった。でも、正直自己紹介でアニメ好きとか言いにくい。ましてやブログだなんて口が裂けても言えない。
だから自己紹介のときにはいつも「読書」と言っている。実際好きではあるし、一応文学部だし、書店のアルバイトもしてたし、なんか知的に見られたらラッキーだし。
まあそれだけだとあまりにも会話のフックが無いので、プラスで「食べること/ラーメン」とか言ったりする。最近料理を始めたので、これも今後使えるかもしれないな。
……でもなんというか、嘘はついてないけど、正直この自己紹介で誰かと仲良くなれる気はまったくしない。凪。
ほかの人はどう答えているのかというと、陽キャ男子はだいたいスポーツ。それも野球かサッカー、たまに筋トレ。陽キャ女子はだいたいスポーツ部でマネージャーやってた人か、ダンスの人。
なんか、ずるくないか。スポーツをする奴らはいつも群れで行動していて。
いや、やつあたりだっていうのはわかっているんだけれど。
もちろん、たまに陽キャではないっぽい人間も混ざっている。でもそういう陽キャではないっぽい男子も、意外と身体動かしてたり、スポーツ観戦は好きだったりするんだよな。そして陽キャではないっぽい女子は、だいたいカフェ巡りか旅行が好きだと相場が決まっている。
僕は旅行なんて全然行っていない。大学在学中に免許合宿入れて2回とか。
某外国文学が専攻なのに、海外に行ったこともない。一度だけ、高校の修学旅行でオーストラリアに行く予定があったけど、コロナで消えた。
たすけてくれ。
スポーツにも旅行にも引っかからない僕は、だれとなにを話せば良いんだろうか。
サッカーなんてイナズマイレブンしかわからない。アフロディが好きだった。僕はあの頃から時が止まっている。ヘブンズタイム。
旅行はGeoGuesserの知識とかでどうにかならないだろうか。イギリスは車のナンバープレートが前は白色で、後ろが黄色なんだよね~とか。無理か。ただ雑学言いたいだけのキモい人かこれは。
というか、みんなほんとに趣味って言えるほどスポーツとか旅行とか好きなんだろうか。もしかして、本当はほかにもっとのめり込んでいる趣味があるけれど、言いやすいからスポーツとか旅行って言ってるんだけじゃないのか。
自己紹介、なにをやらされているんだ俺たちは。
いい大人が集まって順繰りに耳触りの良いことを言っていく茶番劇。
珍しい趣味であればあるほど、固有性があって面白いから評価されるべきだと思う。
ニッチな趣味であればあるほど、一致したときの感動が大きくて仲良くなれそうだと思う。
なのに、実際は自己紹介といいつつ、自己のことなんてほとんど紹介されず、借り物の言葉ばかりが蔓延し、AIで代替可能な自己が陳列されてゆく。
なるべくみんなと同じ「趣味」を言うだけ、自己紹介のはずがマジョリティ紹介になっている。
そんなことになるならもう、自己紹介で「趣味」を言うのはやめませんか?
百歩譲って自己紹介をするとして、みな自己の「本質」を教え合ったほうが面白くないですか。
外向けの「趣味」なんかじゃなくて、もっと人に言えないような部分にこそ、その人の「本質」が宿っていると思うんです。
積んでる本が20冊くらいあるけど新しい本を買い続けているとか、家で何度も複利シミュレーションを繰り返しているとか、いつか使いたいボケのストックがあるとか、もう使っていないTwitterアカウントが無数にあるとか、毎年冬休みにアニメ『けいおん!』を観てるとか、ゲームでは基本的に女主人公を選んでいるとか、昔ネットの海で拾った忘れられないカゲプロの同人誌があるとか。
そういうガチでキモい部分しか、意味なくないですか。
……なんて、全部冗談冗談!!!
俺の名前はアクテン!!! 趣味はサウナとフットサル!!! 来週は韓国旅行!!!
声は大きければ大きいほど面白い!!! 好きなお酒はカシオレ!!!


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