好きな画家を聞かれたときの正解は「ドガ」

未分類

たまに美術館へ足を運ぶんだけれど、こういう話をすると決まって聞かれる質問がある。

「好きな画家だれ?」

うにょ~~~~~~~ん。毎回新鮮に困っている。どうにかしたい。

いや、大前提として、もちろん好きな画家を答えればいいと思う。思うのだけれど、めんどくさいヲタクというのは「ここで○○って答えたらどう思われるかな」を考えてしまう生き物なのである。さらに傲慢なことに、「ミーハーとは思われたくないけど、めんどくさいヲタクとも思われたくないな」「でも嘘はつきたくないな」という、めんどくささのダブルバインドに縛られて動けなくなっているのだ。この目下最大の悩みを解決するためには、各画家の作品や経歴、世間的な評価等々をきっちりと調べ上げ、一人ひとり比較検討していく必要があると思う。思うのだけれど、う~~~~ん、まあなんとなく、思いついた画家の名前を挙げながら考えていくとするか……。

【1】ゴッホ、ダヴィンチ、ピカソ
こういうときにゴッホとかダヴィンチとかピカソって答えるのは一番ない。あまりにビッグネームすぎて口にするのが憚られる。実質ヴォルデモートみたいなもん。この人どっからどうみても美術超詳しいんだろうな~~~ってことがオーラでわかるような白髪白髭おじいさんになるまで口が裂けても言えない。つまりはダンブルドア。

【2】ミュシャ
実際は大好きなんだけど、ミュシャもない。日本人ミュシャ好きって人多いし、これもやっぱりミーハーみがあると見なされる可能性がある。

【3】フェルメール
代表作の名前を「真珠の耳飾りの少女」と呼ぶか「青いターバンの少女」呼ぶかという駆け引きが発生するリスクがある。干渉を避けるために「牛乳を注ぐ女」に逃げると一転、「こいつTwitterで話題になったから知っただけなんじゃないか……?」という新たなミーハーリスクが顔を出す。

【4】ゲルハルト・リヒター
誰??????って思った人、いるでしょ。結局美術興味ない人からみたらちょっとマイナーな画家を言っても話は広がらない。ちょうどいい距離感というのは難しい。

【5】ゴーギャン
「好きな画家だれ?」「あ~ゴーギャンかな~」
大学生がこれ言ってたら間違いなく『我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか』のタイトルに惹かれた中二病としか思われない。実際そうだし。

【6】レンブラント
「レンブラントが好きです!」
これ結構悪くないけど、ちょっと有名すぎる気がする。あと「『夜景』って実は夜じゃなくて、昼の風景なんですよ」っていうもう全国民知ってるだろっていううんちくを相手が言ってきてしまった場合にこちらが相手を見限ってしまいそう。

【7】アルチンボルド
下ネタ?

【8】カラヴァッジョ
悪くないしなんなら結構ちょうどいい気がするけど、カラヴァッジョは人殺してるからな……。相手からの心象が……。

【9】ルノワール
「ルノワールの絵。興味ありませんか?」
なんだかチョイスは悪くない気がするけど、どうしても喫茶店のイメージが拭えない。このままマルチ勧誘でもされるんじゃないかと相手を疑心暗鬼に陥らせてしまう可能性がある。

【10】ゴヤ
「ゴヤしか勝たん♡」
関わらないほうがいい。単純に絵が怖すぎるので。代表作が『我が子を食らうサトゥルヌス』て。我が子を食うな。そもそも子を食うな。人も食うな。

【11】アンリ・ルソー
「やっぱりアンリ・ルソーかな」
狙いすぎ。下北沢で変な柄シャツでも探してろ。

【12】マネ
「マネが好きです」
「え、あっいや、モネじゃなくて」
「マネ、です」
「マ、ネ、です」
もうモネでいいです。

【13】ドガ
「ドガ……ですかね」
これかも。印象派という大きな括りの中に居ながらにして、モネやルノワールほど有名すぎることもない。でも美術好きなら基本的に知ってるであろう一番ちょうどいいライン。ついに見つけてしまった。これでもう「好きな画家は?」という質問に臆することはない。めでたしめでたし。

……。

---------------------

ギャル「ヲタクくんって休みの日とかなにしてんの~~??」
アクテン「きゅっ、休日はたまに、び、美術館に行ったり……」
ギャル「え~そうなんだ~!!好きな画家とかいるの~~??」
アクテン「えっ、あっ、好きな画家、ですか、、ドガ、、、とか……」

うわ。最悪です。なんかダジャレみたいになっちゃった。

コメント

タイトルとURLをコピーしました